77億の感動


アメリカ在住のパフォーマーです。世界人口77億の感動研究中。プロフィールは下のカテゴリーから。
by KunikoTheater
プロフィールを見る
画像一覧

<   2009年 07月 ( 3 )   > この月の画像一覧

海は知っている

少し前のこと。
尊敬する書道家、吉田勉さんがアメリカに来た時、
展覧会を観にいき、
話が盛り上がって、
車で海にお連れすることになった。

彼は72歳というが、どう見ても40代の若さで、
ヨガの先生もされているとのことで、
うなってしまった。

天皇家に書を納める書道家を父とし、
あまのじゃくの息子の奔放、
かつ何かを求め突き進む人生のきれはしを
聞かせていただいたのは、
今でもすべて覚えている。

聞いてみたいことはいっぱいあった。
「今の吉田さんゴールはなんですか?」
車の開いた窓から海岸線を見ていた吉田さんの目が私に振り向いて
こどものような、老人のような、声が私に言った。
「あのね、足りることを知ったの。」

私はいつも足りない思いでいるから、
前へ進むしかないって思っていた。
「足りてしまったら、その後、何があるんですか?」
「海があるよ。みてごらん。」

わかったよな、わからんよな、でも一応わかったよな感じで、
海辺を歩く。

夕暮れの海は釣り人が多い。
赤い太った魚が何匹もバケツに入っているのを二人で覗き込んでいると、
「欲しいかい?1匹やるよ、ほれ。」」

吉田さんはtシャツに魚をだきこんで近くのピクニックテーブルに行き、
ポケットからナイフを出し、魚をさばいた。
そして拾った貝を皿に、サシミを食べた。
塩水がしょうゆ代わりですごくおいしかった。

「あのぉ、さっきの話ですが、足りないから次の目標があるわけで、
夢を追いかける、とかもそれだと、思うんですけど、吉田さんは夢とかないんですか」
「あるよ、毎夜、いびきかいてみてるよ。」
「あのぉ、それ、だじゃれですか?」
「ははは。あのね、目標とか夢とかいわなくても、海は海の仕事をしてると思わない?
そしてそれを海は知ってるんだろうね。」

前衛的な書道で世界中に挑み、何かを問い続けているような彼の作品が胸に浮かんだ。
私はまだ全然、自分の仕事がわかってないんだな、って思った。

それは今でもあまり変わらない。
久しぶりに吉田さんにお手紙を書いた。
「夕涼みあの日と同じ青い空 くにこ」
[PR]
by kunikotheater | 2009-07-29 22:07 | エッセイ

娘とごきぶり

朝、ねぼけ頭でキッチンでゴキブリを踏みそうになった。
一度は逃げるが、その後、何度も私の足元にくる。
私のことが好きなのか?

今日の創作話 byくにこ

昔むかし、ある若い娘があるごきぶりと恋に落ちました。
台所で毎朝、ごきぶりは、娘に会うのを楽しみにしていました。

娘は、村の若者たちが、はしゃいだりすることが、なにひとつ楽しいことには思えず、
似たような話ばかりする男友達にうんざりしていたところでした。
だから、娘は、ごきぶりが、代々伝わる3億年前の昔話をしてくれるのがとても新鮮でした。
ニンゲンがこの地を歩き始めるずっとずっと前から生き、
ニンゲンが絶滅してもずっと生き続ける類として生まれてきた彼が、偉大に思えました。

ごきぶりは娘の肩に乗り、森を一緒にいくのが好きでした。
いつも落ち葉や朽ちた木を這ってばかりいるごきぶりの世界に少しうんざりしていたのです。
この時ばかりは、空が明るく見え、空気がすみきっているかのようでした。
ごきぶりを見たら殺すことしか考えていない多くのニンゲンのなかにも、
こんな娘がいると思うと、彼女が可愛い心の持ち主に思えました。

数ヶ月がたち、寒い冬が来ました。
寒いのが嫌いなごきぶりは、娘の暖かい毛布の下で毎日過ごしました。
そして娘が入ってくると、
彼女は今日会った事を話し、ごきぶりは、いつまでもあきることなく聞き続け、朝まで楽しく過ごすのでした。

数ヶ月がたちました。春がきました。
ごきぶりを恋人にもつ娘を、家族は心配し、友達はみな気持ち悪がりました。
ニンゲンを恋人にもつごきぶりは、殺人魔のニンゲンの恋人と称され、みなから罵倒をうけました。

数ヶ月がたちました。夏がきました。
ごきぶりは、自分の好きな季節がきて、体調最高でした。
ところが、娘は夏カゼをこらし、寝込みました。
ごきぶりは、夜も寝ず、看病しました。

数ヶ月がたちました。秋がきました。
長引いた娘のカゼを診た若い医者が彼女に結婚を申し込みました。
娘はごきぶりに、さようなら、と言いました。
ごきぶりは、元気でな、と言いました。
娘は、また会えるかしら?と聞きました。
ごきぶりは、多分ね、と微笑みました★

      *    。 ★
☆  。

七夕も終わって、夏も本格的になってきましたね。
今週末はショーでオーランドへ行きます。
足をお運びくださいまし。お会いできるのを楽しみにしています!!
Target Family Theatre Festival
http://www.orlandorep.com/InDash_Display.aspx?PGID=317
a0105219_645179.jpg

[PR]
by kunikotheater | 2009-07-18 03:36 | エッセイ

ピナ・バウシュ

モダンダンスのダンサー・振り付けを半世紀も続けたPina Bauschの言葉、

I am not interested in how they move but in what moves them.
ダンサーがどう動くかに私の心が向いているのではなく、何が彼ら(彼女ら)を動かすか、ということなの。
a0105219_62823100.jpg


ダンスの動きによって、意識や感情を表現するのでなく、意識や感情によって、ダンスの動きになる。
私なりの解釈はそうなった。。。。
私は昔、マイムの師匠のトニーに、なぜそこで動くのか?なぜそう動くのか?とよく問われた。
こう見えたらいいから、と思って動いていた私にとって、
大きなレッスンになった。今でも終わってない宿題でもある。
ピナ・バウシュの言葉は宿題をもう一度、黒板に書いてもらったみたいな感じです。

a0105219_629414.jpg


ピナ・バウシュはドイツのダンサーで、
世界を舞台に踊り続け、振り付けの方でも有名で、
作品は、ビデオでみてみてください。
もうひとつのブログにアップです。

作品だけでなく、いい言葉を残していってしまいました。
ため息がこぼれるほど美しい68才でした。
a0105219_6311020.jpg

[PR]
by kunikotheater | 2009-07-06 06:31 | 77億の感動の研究

カテゴリ

全体
プロフィール
このブログのこころ
77億の感動の研究
ストーリーテリング
アメリカエンタメ情報
エッセイ
ランニング

ファン

ブログジャンル

画像一覧